この窯作りブログでは
これまで取り組んできた様々な窯の資料を公開、
煉瓦窯~セラミックファイバー窯、バーナー、燃焼装置、温度計まで。
陶芸に取り組みたいと思われる方の参考なれば幸いと思います。



                                          古川博久     2011年4月

                                         

2011年6月23日木曜日

セラミックファイバー窯  新聞記事

    1998年のとある地方の新聞記事
      
       NHKの放送とは、
       「世界こころの旅」で京セラの稲元さんが焼き物のルーツを辿り
        景徳鎮を訪ねるというもので、そこでテレビ画面に映りだされた窯が
        セラミックファイバー張り窯でした。
        中国景徳鎮では磁器を焼くのにすでにセラミックファイバーを
        導入していたのです。
        そして、稲元さんは「うん~、よく焼けている。」と
        この記事は当時国立大学の先生の書かれた記事。
      
        セラミックファイバーはアメリカNASAがスペースシャトルの断熱材として
        開発したものです。
        カオリンという耐熱性高いの鉱物やシリカ等を1500~1800℃の高温で
        溶かし、繊維状にして取り出し加工
        (ブロック状やブランケット、タイル)したもの。優れた断熱材。


灯油窯自動化

下の煉瓦灯油窯に対して
セラミックファイバーを使った窯に
灯油のプログラム制御装置を付ける。
還元焼成、酸化焼成、等数種類のプログラムを
組む事が可能。
コンピューター上のタイムログで
温度と酸素量、灯油量を調節する。
安全弁は光センサー。
送風量はサイリスタを使ってファンの回転をコントロールする。
ので自動化が可能。
灯油調整は電磁ポンプへ送る電気を間欠制御。
これで灯油窯の自動が出来た。

この窯も売ってしまうけど
問題が・・・・
陶芸の醍醐味である窯焚きの面白さや緊張感、
汗を流すことをしないで済む分、焼き上がり窯出しの
感動が減るし、陶芸、窯焚きを甘く見る傾向へ・・・・

還元の煙でセンサーが曇りシャットダウンも結構あったよう・・・
設計図はお蔵入り。

陶芸に取り組む意味まで考えてしまう・・。


灯油窯の自動化1号
ガスのような気体は流量制御しやすいけど
そこで、まず思い付いたのがトイレの洗浄・・・
あれを転用すればいいかな・・・
解体して使うには高価だし、自宅トイレで使っているやつは怒られる
一番の問題は耐油性でないだろうから諦める。

そこで電磁ポンプを使って、作動に流す電気に制御を掛ければ
自動制御化できると考えて作ったのがこの窯
この時点では自動ではなく
温度計を見ながら操作するだけで
マニアル化ができる。
安全弁は光センサー(石油ファンヒーター用を転用)

首尾よくいって、この窯も売る。





セラミックファイバー大型窯の窯焚き
1250度まで上げるのに掛かる時間が最短で5時間、
1250度を112時間掛けて焼くのに必要な灯油100リッター
ドラム缶半分。t煉瓦窯の4分に1以下の量。
窯内部温度の上下差はゼロ。

天井クレーンを使った窯入れ作業
(奥伝三郎・古川博久)

自作大型窯

 2011年現在せいざん工房で天井クレーンではなくスライド式に改造中。


△ 天井クレーンで吊り上げる方式。
この窯だと単体で大きい作品でも
手で持って窯入れの労力、体力の限界を超えられる。
なるべく窯の大きさの制約を受けないで済むように考える。


窯内部高さが2mにもなると、
上下の温度差が100℃のもなるだろうから均一な焼き物、歩留まりを
考えると止めたほうがいいとも周囲から忠告されるも、作る。
結果は温度の上下さゼロ。
一般的には煉瓦窯だと
上下の温度差を考えて窯内部の高さは1m以内がいいとされている。

△理由はクレーンで動かす窯なので煉瓦は使わず
セラミックファイバーを断熱材として使った。
窯内上下の温度差は煉瓦そのものの蓄熱量の影響が大きく
(つまり、上部が下部より大きく蓄熱するためで)
セラミックファイバーは殆ど蓄熱しない。
空気で断熱するだけ。
ブロアーの空気量を増やせば熱が循環し窯内部全体の熱は均一になり
これだけの大きい窯での温度上下差はなくなる。
作品や棚板等の蓄熱の上下差は考えられるけど影響は少ない。
バーナーは自作(そもそも陶芸窯用バーナーは売っていない)

電気窯


自作電気窯

サイリスタとコントローラ(プログラム制御で全自動化もできた)
※売ってしまった。
とにかく何でもやってみる、の精神。

セラミックファイバーボード窯


セラミックファイバーのボードを組み立てただけのガス窯
△外枠に鉄の板を使うと、鉄自体が熱を持ち熱く焼けるので
エックスバンドメタル(網状)を使う
基本的にはLアングルで構成。
セラミックファイバーボードをカッターナイフでカット
内張りした。
ボードは50mmを2重に。間に50mmの隙間を設け
断熱効果を高めるよう工夫。
画像右下に見えるLPガス10キロボンベで窯焚き。
本焼き1250℃8時間焼成で使用ガス量5キロ弱。
10キロボンベで本焼き2回焚ける。
△目的や粘土によって時間を短縮するとすれば1時間で1250℃に到達
△ 窯内の実効寸法 棚板45cm」×40cm高さ70cm
△製作1日
△バーナーは ベンチュリィバーナー1本。
△ 直炎式

※試験窯に製作

ドラム缶窯

                  直炎式灯油窯
                  試験窯に使う。
 



自作バーナー 電磁ポンプ


          △ 電磁ポンプは石油ボイラーについていた解体品
          △ 電磁ポンプを使うメリットは燃料タンクを高い位置に
            設置しなくていいというだけ、で、後には使わなくなる。
            この装置を外しタンクを2mほどの高の位置に置き落差式にする
            つくりがシンプルで故障が少ない・・・等のメリット。
           △ 着火はセラミックヒーター(石油ファンヒーターの解体品)
              これも後に外す、着火が不安定。ライターで直接火をつければいい
              ことに気づく。 
            ※何でも経験してみないと解からない・・・・・


自作灯油バーナー


            灯油バーナー1号機  火口はくず鉄のパイプで作る。
            30年経った現在も使っている。

2011年6月20日月曜日

陶芸窯用自作灯油バーナー

 

           火口は鋳物製が耐久性の点で一般的ですが
            5mm~10mmの厚みの鉄でも、
            使い始めて20年、本焼き200回使っても
            未だ問題なく使えています。
            ステンレスでも作ってみましたが鉄で十分です。 


         

自作灯油バーナー図面


自作灯油バーナー図



クレアモント大学の窯


直炎式ガス窯(煉瓦)


丸筒型窯吊るタイプ



                               セラミックファイバー張り、スライド式窯(ガス)

大小15基
どの窯でも自由に使えた。

クレアモントの大学の窯

 ロスアンゼルスから車で東へ1時間半、クレアモントの大学の陶芸窯
雨が少ない気候なので屋根の無い窯。
窯の作りも日本に比べるとかなりラフに作っている。
これでも問題はない。
日本では神経質なくらい密閉度など考える。
PaulSoldner 教授(当時、私は30歳)   


PaulSoldnerは出来ない理由を言うのが嫌いで、
とにかく思いついたこと、何でも試みる事を率先して教えた。
窯が無い、道具が売っていない理由など通じなかった。

いつでも、無ければ作ればいい、の精神。

私が様々窯を作り、バーナーまで作って実験的なことをしいてきたのは
彼の影響に他ならない。

Soldnerは1980年に反射鏡を作って太陽の熱で焼き物を焼く試みをしていた。
カリフォルニア(大学)やコロラド(教授の工房)では
雨が少ないので、日本より焼ける可能が高かった。



ポールソルナーの簡易窯で焼いた作品



ポール・ソルナーのブログ  アメリカ コロラド

ポールソルナー の簡易窯 




簡易な灯油バーナー

一見落ちそうな天井だけど、大丈夫







PaulSoldne(アメリカ)の簡易窯  窯というより煉瓦積んだだけ

燃料はガス、灯油(ベンチュリーバーナーや灯油バーナーを使う)

簡単な窯

積み木のような窯 これでもちゃんと陶芸できます。
PaulSoldner (カリフォルニア クレアモント)

大学のワークショップでの風景







  http://www.paulsoldner.com/ ポール・ソルナーのブログ